オスカー・ワイルド アット リバティ

アールヌーボーの左右対称の蔓のようなデザインから、1930年代の小花柄、70年代の幾何学模様、そして21世紀のフォトリアリズムまで、リバティは150年近くにわたってプリントデザインの最前線に立ってきました。アーカイブの中で最も象徴的で永続的なプリントデザインのいくつかは、開店当初のものです。この頃のリバティデザインは、アイルランドの劇作家でありウィットに長けたオスカー・ワイルドをはじめとする著名で影響力のあるファンに支えられ、新興の耽美主義の最前線にありました。

「芸術のための芸術」という哲学に基づいた耽美主義は、ヴィクトリア朝時代の既成概念にとらわれず、美しいものを視覚的・感覚的に楽しむことを重視していました。古典期や日本の装飾美術に大きな影響を受けたこのムーブメントは、アーサー・ラセンビィ・リバティと彼の店が提供したものによって形成されました。アジアや中東から輸入された美しいインテリアや、エレガントなドレープのコスチュームを揃えたリバティは、あらゆる形態の美学「美の礼賛」に魅了された人々が必ず訪れる場所でした。

ワイルドの編集のもと、1889年に『ウーマンズ・ワールド』誌に掲載された記事では、リバティを「芸術的な買い物客に選ばれたリゾート地」と表現していますが、これは耽美主義の典型的な信奉者をウィットに富んだ愛情を込めて描いた共鳴的なフレーズです。「魂の芸術的な渇望を表現するようなある種の敬意をもって、彼女は見せられた美術品やフェード・シルクを手に取る。このような人の応接室は、黄色のテラコッタとアイボリー、またはオリーブグリーンの淡い新色の赤茶色で整えられており、床はパーケットリーで、その上には豊かな東洋の絨毯が敷かれ、家具はムーア風のダークウッドで揃えられていることは、ほぼ間違いないでしょう」。と綴られています。

孔雀の羽、ヒマワリ、ユリなどのモチーフのプリントパターンはこの運動への献身を示すもう一つの方法で、ボヘミアン・ロマンチシズムと、どこまでもアバンギャルドなスタイルという耽美主義の精神を体現していました。ワイルドは、ヒマワリとユリの様式化されたフォルムに魅了され次のように表現しています。「デザインの最も完璧なモデルであり、装飾芸術に最も自然に適合している。一方の派手なライオンのような美しさと、他方の貴重な愛らしさは、芸術家に最も完全で完璧な喜びを与える」。

孔雀の羽をモチーフにした「ヘラ」は、耽美デザインの中でも最も悪名高いもののひとつであり、リバティでは今もなおその名を残しています。孔雀を神聖な動物とするギリシャ神話の女神にちなんで名付けられたこの象徴的なプリントは、オーブリー・ビアズリーの『サロメ』の挿絵やホイッスラーの『孔雀の間』にも影響を与えた優雅さと退廃感を醸し出しています。「ヘラ」は1890年代半ばからリバティのデザインを飾っており、今でもリバティのデザインスタジオチームの根強い人気を誇っています。今でも毎シーズン、スリープウェアやホームファニシング、シルクスカーフなどを飾っており、その人気は21世紀の家庭やワードローブに美学の理想の一端を伝えています。「美しいものとは、季節を問わずに楽しめるものであり、永遠に所有できるものである。」 というワイルドの格言にも通じるものがあります。