story
interview

デザイン・マネージャー、ポリー・メイソンさんに聞く

Liberty Japan Co., LTD.

多くの人々を魅了して止まないリバティプリント。そこには時代を超えて愛され続けるクラシックコレクションと共に、毎シーズン発表される新作があります。ポリー・メイソンさんはそれらを手掛けるデザインチームを統括する一人。そんな彼女に、絵を描くのが大好きだったという幼い頃の思い出からリバティ社で働く醍醐味までを伺いました。

デザインの名品に囲まれた少女時代が原点

芸術やデザインに造詣の深い両親のもと、幼少時代から絵や制作に親しみ、ギャラリーやミュージアムにも足繁く通っていたというポリーさん。「母はアーティストで、アーツ&クラフト運動の作家やアールヌーボー時代の作品が特に大好きでした。一時期、家のなかがウィリアム・モリスの壁紙や彼のファブリックを使ったソファなどで埋め尽くされていたこともあったほど。その環境で育ったおかげで、リバティ社のデザイナーとしての美意識が幼い頃から育まれていたのかもしれませんね」と笑います。当時の彼女が一番気に入っていたドレスは、今でも生産されているリバティプリントのひとつ「ベッツィ」で作られたものだったそうです。

アート学生から、責任ある立場のデザイナーへ

そんなポリーさんが美術大学でプリントテキスタイルを学ぶのは自然な流れだったのでしょう。そして大学にやってきたリバティ社のリクルーターに白羽の矢を立てられて、彼女のキャリアは卒業制作展終了の翌日からスタートします。最初はオリジナルのデザイン画を異なった色で展開し、カラーバリエーションを創るカラリストという仕事をしていたそう。その後、デザイナー、シニアデザイナーと順調にステップアップを続け、現在はデザインルームを統括する要職デザインマネージャーを務めています。 「毎シーズン、チームのヘッドと大枠のテーマを決め、各デザイナーにそのコンセプトを伝えます。それぞれが責任を持ってリサーチをして掘り下げ、デザインに落とし込んでいくのですが、テクニックとリバティプリントらしさの両面からアドバイスを与えてベストなものへと導いていくのが私の役目です」とポリーさん。長年のキャリアで制作の全行程を熟知している彼女だからこそ、なし得る仕事と言えそうです。

お気に入りのデザインは、アーカイブがインスピレーション源

もちろんポリーさん自身も毎シーズン、新たなデザインを手掛けています。これまでに彼女が世に送り出したデザインは100以上。大ヒットした映画「007 カジノ・ロワイヤル」の冒頭でジェイムズ・ボンド役のダニエル・クレイグが身につけていた柄「マグダ」も彼女の手によるものでした。「全てのデザインには思い出がありますが、そのなかでも特に気に入っているのは木々を描いたもの。自分の結婚式に使うほどのお気に入りだったデザイン『クリステル』をインスピレーション源に、これまで画材を変えていろいろな木の姿をデザインしてきました。18年春夏の『Alpine Symphony』コレクションの中にも、カラフルなガッシュ(水彩絵具)で描いたデザインがあります」。 デジタルの活用が当たり前の昨今でも、リバティプリントのデザイン画の90%はデザイナーたちが自らの手で描いています。「そうすることでキャラクターが宿り、ストーリーが生まれると感じています。ピクセルで描かれたものとは明らかに違うのです」。そして新たに生まれたリバティプリントに名前をつけるのも彼女たちの大切な仕事。「その絵柄が持つ雰囲気で決めることが多いですが、時には家族や友人たちの名前をそのまま使わせてもらうこともあるのですよ(笑)」。

日々の弛まぬ努力によってさらに良いデザインを

140年以上の歴史のなかで、常に素晴らしいプリントデザインを創り出してきたリバティ社。数々の名作をアーカイブに携えながら、それらに勝るとも劣らない未来の名デザインを作るべく、ポリーさんたちの健闘は続きます。「デザインチームの同僚からはいつも限りない刺激とインスピレーションをもらい、商品化する工場の方々からは技術面でのたくさんの知識を授かっています。そのほかにも世界中の関係者からとても多くのことを学んでいます。そうして私たちは力を合わせて常に前進しながら、次のシーズンは前よりもさらに良いものを創り出そうと努力しているのです」。

photo: Miki Yamanouchi
edit & text: Miyuki Sakamoto