story
LIBERTYの歴史を辿る
すべての人に優れたデザインを――
創業者、アーサー・リバティが
貫いた精神と共に歩みを辿ります。
Liberty Japan Co., LTD.
Liberty Japan Co., LTD.
1875年、リバティ社の歴史が幕を明けます。創業者は、アーサー・ラセンビィ・リバティ。
芸術を深く理解し、進取の気性をもってロンドンで最も話題を集める百貨店を創り上げた稀代の経営者には、揺るぎないビジョンがありました。すべての人に優れたデザインを――。リバティ氏が貫いた精神と共に、歩みを辿ります。
遡ること1862年、ロンドンで開かれた万国博覧会で東洋の美術品が紹介され、リバティ氏もまた多くの市民同様に、遠い異国からやってきた未知なる美、繊細な技に大いに魅了されました。当時働いていた「ファーマー&ロジャーズ商会」に新設された東洋の商品を扱う部門で、リバティ氏は頭角を現し、日本をはじめとする東洋の美術への理解を深めていきます。
1875年、独立し「リバティ商会」を設立。リージェント・ストリートに「イースト・インディア・ハウス」をオープン。卓越した審美眼によって集められた東洋のファブリックや装飾品はたちまち評判となり、人気店へと成長を遂げます。
1889年には、夫人を伴って日本に3か月間滞在。芸術や文化に触れ、ありとあらゆる美術工芸品を大量に買い付けたことからも、当時ヨーロッパがいかに日本に熱狂し、リバティ氏自身にとっても日本がどれほど重要な存在であったかが伺えます。
さまざまな室内装飾品を充実させて、ロンドン屈指の百貨店たる名声を確立。グレート・マルボロ―・ストリートに現在も威容を誇るチューダー様式の店が完成したのは、1924年のことでした。
東洋から取り寄せたシルク製品が人気を集める一方で、リバティ氏は、いち早くイギリスでの東洋風ファブリックの生産に着手します。
19世紀末から20世紀初頭には、木製のブロックを用いるハンド・ブロック・プリントによって生み出されたペイズリー柄が一世を風靡。ペイズリーは、アール・ヌーヴォー柄や小花柄とともに、リバティ・ファブリックスを代表するプリントとして伝統を今につないでいます。
1920年代には、リバティの代名詞となる画期的な生地、タナ・ローンを開発。あたかもシルクのような光沢と手触りをもつ、このユニークなコットンが、リバティの人気を不動のものとしました。
リバティのオリジナルプリントは43,000種を数え、現在もシーズンごとに100種類にも及ぶ新作が発表されています。多彩なファブリックは、時代をリードするアーティストやデザイナーたちにも刺激を与え続けているのです。
1960年代から70年代には、エルメスやイヴ・サンローランをはじめ有名ブランドとのコラボレーションが実現。今も、ナイキやアクネなど数多くのブランドがリバティプリントを採用するなど、クリエーターとの蜜月関係は続いています。
プレミアム・ライフスタイル・ブランド「リバティ ロンドン」が、2013年にスタートしました。東洋のファブリックに導かれ、デザイン開発と技術革新へのたゆまぬ挑戦を続けてきたリバティ。歴史が紡いだ膨大なコレクションをベースにしたバッグや小物、スカーフ、ホームテキスタイルなどライフスタイルを彩る豊富なアイテムが揃います。
「すべての人にすぐれたデザインを」という信念のもと、時代を切り拓いた創業者、アーサー・ラセンビィ・リバティ氏の精神が息づく、伝統に捕われることのない現代的なコレクションです。
text: Terue Kawai